地域危険度と表層地盤増幅率

国の公表している資料を見ると東京湾の埋め立て地、豊洲、青海、新木場、勝どきなどは地域危険度がかなり低い地域と想定されている。これは資料を見る限り耐震性の高い高層ビルが多く倒壊の危険が少なかったり、建物が密集していないため火災のリスクが低いことを考慮していると思われる。

一方で地盤については軟弱で地震に弱いということを否定してはいない。また、表層地盤増幅率のマップを見ると埋め立て地の表層地盤増幅率は非常に高くこれからも地盤は弱く液状化も起きやすいことがわかる。直近でも能登の震災で表層地盤増幅率の高い地域が液状化で壊滅的な被害を受けたことがわかっており、この指標が地震の影響を考えるうえで重要だということがわかる。

地震が起きたとき、たとえ高層ビル、マンションそのものの耐震性が高いとしても表層地盤増幅率が高く地盤が弱い土地は水道、ガス、道路などのインフラが被害を受ければ生活が成り立たない可能性が高い。なぜか地域危険度はこういった事情を全く考慮していないように見える。また、埋め立て地のすぐ北側には密集した古い住宅が立ち並び、標高も低い、地域危険度で見ても最も地震の被害を受けやすいエリアがある。これらの地域が大きな被害を受け交通に支障が出たら埋め立て地のエリアは孤立するリスクもありそうだ。

埋め立て地に出勤で通っている自分も他人事ではないが、地域危険度だけを基準に安全かどうかを判断するのは非常に危険だと思う。Google検索では不動産開発業者の関わっている情報がSEO対策の結果検索上位に出てきて、それらが埋め立て地はむしろ安全といった論調のため誤解する危険があるが、とても安全だとは思えない。