写真について
数年前から撮りはじめた写真についての雑記。
シャッタースピードの重要性
植物の写真をよく撮るが、最近シャッタースピードの重要性がわかってきた。植物は葉、花弁、茎などの細かいパーツが無風でもわずかに動いているため、シャッタースピードを意識して速くして撮らないとエッジのある美しい写真にならずどこか散漫な印象の写真になる。
これを防ぐにはよく目安と言われている「1/焦点距離」程度のシャッタースピードでは不十分で、最低でも1/1000くらいの速度であったほうがよい。シャッタースピードを上げるにはISO感度の調整が必要だ(暗くなりすぎることを防ぐため)が、カメラ初心者向けの本、サイトはあまり感度の調整の重要性が説明されておらず、室内/屋外や天候などの条件による推奨値に固定して撮影することを推奨するものが多かった。
これはフィルムカメラの時代ISO感度はフィルムによって決まるため写真1枚1枚で感度を変えることは現実的でなかったため、感度は固定せざるをえなかったことを踏襲しているのだと思われるが、状況に応じてISO感度を簡単に変えることが可能なデジタル時代の写真撮影には適していない考え方だと思う。
トーンカーブの調整
RAW現像でトーンカーブを調整することがあるが、思うがままに修正するとどこか不自然な写真になってしまう。これはトーンカーブで操作する明るさ・暗さの分布は、光源の向き、天候、温度など現実世界の影響を受けて決まるものなので、そこから大きく逸脱した変更をすると現実感がなくなるためだと思う。
デジタル写真で無加工を主張すること
デジタルカメラはセンサーから得た光の電気信号をもとに画像データを生成している。この処理は加工なので「撮って出しは無加工」という主張は間違っている。ボディに内蔵された機器により、デフォルトの加工が行われている。
アナログ時代の写真も光の情報を化学反応で像に変換しているためこれも加工されていると言える。写真というのはそもそも光の情報を加工して媒体に保持する技術であり、「加工していない写真」というものは存在しない。
ミラーレス一眼のセンサーの汚れ
ミラーレス一眼のセンサーにゴミがつくのは防ぎようがないことだと思っていたが、部屋に空気清浄機を置くようになってから写真に写りこむレベルのゴミがセンサーについてしまうことがほとんどなくなった。
空気清浄機を置いたからといって部屋にほこりが積もらなくなったわけではないので不思議だが、一定の効果はあるらしい。
レンズフード不要論
オールドレンズ好きの間ではレンズフード不要論があるが、フレアやゴーストが美しい効果を生むケースはごく僅かなので普段はフードをつけて撮影し、そういった効果が生かせそうな場合のみ外すのがよいと思っている。
普段から外していると単に写真が劣化するだけの場合が多い。
焦点距離135mm
一眼カメラの入門として焦点距離50㎜のレンズが勧められることが多い。確かにパンフォーカスで風景も撮れるし、接写もできるバランスの取れた画角だと思うが、個人的には135㎜のレンズのほうがよいのではないかと思っている。一眼らしいボケを生かした写真が比較的簡単に撮れることと、風景を写す場合写したくないものまで写真に写ってしまうことが少なく撮りたいものだけにフォーカスした写真が撮りやすい。
また、オールドレンズについていえば80~100mmくらいのレンズはポートレート用に使われ人気があるので高価なものが多いが、135mmはあまり人気がなく比較的入手しやすい値段でレンズが手に入るというメリットもある。一方でこの焦点距離のレンズは外れが少なく、どのオールドレンズでもそれなりによく写る。
50mmはフレームに入る被写体の整理などに慣れるまで、「つまらない写真」を量産しがちで写真に飽きてしまうリスクがあるが、135mmでは何を撮ってもそれなりに一眼カメラらしい写真になるので写真を続けやすいのではないかと思う。
写真は「真実を写すもの」か
フィルム写真時代から暗室作業での覆い焼き、焼きこみなど様々な方法で、写真は加工、調整されてきた。デジタル時代でも方法が異なるだけで、やっていることは同じ。なので写真が「真実を写すもの」とは思わないし、無調整の写真に特別な価値があるとも思わない。例えば青空に羽虫のせいで黒点が写ってしまった場合はRAW現像のクローンやゴミ取り機能で消すし露出のアンダー/オーバーも調整する。それが写真の価値を下げるとは思わない。
絞りの開きすぎ
オールドレンズを使うと一番個性が出るのは絞り開放付近なので絞り開放で撮影する頻度が高くなるが、ある程度絞らないとフォーカスする物体の一部にピントが合っていない散漫な写真になりやすい。オールドの個性と散漫にならないピントの深さのバランスを考えて絞りを調整する必要がある。
人間の目のF値
f1という情報が多く出てくるが、実感としてこんな浅いピントで物が見えていない。このサイトの人の計算ではf5~8で、これはだいぶ納得がいく数値。
写真で目で見たままに近いライブ感を出したい場合のF値はf5~8がよいのかもしれない。今度試してみたい。